指導人数による流行り廃り

2004年から2006年頃にかけて、学習塾業界にはあるムーブメントが起こっていました。それは個別指導塾、とりわけそれまでの補習的なものではなく、受験勉強を対象にした『プレミアム個別』と呼ばれるものの急増です。それまでは塾の形態として学力がある一定以上のレベルに達していれば、集団授業で競争意欲を駆り立てながら学ぶのが効果的とされ、受験指導と言えば集団授業が一般的でした。逆に学力が一定レベルに達していない場合は、個別指導で基礎からみっちりと学ぶのが効果的と言われてきました。ところが、昨今の個人主義や学校の絶対評価の導入などに伴い、子どもたちに他人と競い合うことへの関心が薄れたことや、地域のコミュニケーションが希薄になり、保護者にも他の家の子どもに目がいかなくなったこと、そして価値観の多様化は塾にも広がり集合授業では、一人ひとりのニーズに応えきれなくなったことなどがその要因としてあげられます。しかし2006年後半には、そのブームにも陰りが見え始めます。個別指導塾の乱立により市場そのものが飽和状態になってしまったのです。集団授業の形態を守っていた塾の時間外補習の充実などもそれに追い打ちをかけています。また『プレミアム個別』とは別に5人〜15名程度の『グループ指導』も同様に増えました。この多くは、元々集合授業を行っていた塾の塾生が少子化に伴い減少していったことで生まれたものが大半で、集合授業と個別指導それぞれの良さを取り入れた『グループ指導』の理念を持っていないものが大半でした。運営面からは成功しているとは言えない状況が続いています。ここで言いたいのは、『プレミアム個別』や『グループ指導』が悪いということではありません。顧客である子どもたちにどんな教育を提供したいのか、という確固たる理念も持たずに流行りに合わせた運営をしていては、結局成り立たなくなることが多いということです。一教室、一講師が何人の生徒を指導するのか。指導人数は塾の運営を大きく左右する要素です。だからこそ流行り廃りにとらわれず、こだわりを持って運営していく必要があるのではないでしょうか。

>>NEXT